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ソリューションコラム

ペーパーレス化を進めるためポイントとは?効果やメリット、実現方法のご紹介

 2019年4月より順次施行が始まった「働き方改革法」に伴い、オフィス改革に取り組む企業が多くなっています。働き方改革へ向けて、まず取り組まなければならないのがペーパーレス化の実現です。弊社では法律施行の5年前の2014年からオフィス改革を通して、ペーパーレス化に取り込んでまいりました。ここでは自社実践により実現した変化や得られた成果、会社業績への影響などについてご紹介します。

ペーパーレスとは

 一般的なペーパーレスとは紙をなくすことを意味します。具体的には、紙類にかえてPDF文書や電子書籍、電子カタログ、Web会議の活用、日報や勤怠管理の電子化を指しています。一方、当社にとってのペーパーレスとは紙をただ無くすのではなく、紙を使わない働き方へ変えることで、オフィスの美化・有効活用だけでなく、「時間」と「場所」を自由に選択できる働き方を実現することです。これは、作業効率の向上と社員間の相互連携を活性化させることに加え、ES向上による優秀な人財確保、しかもコスト削減にも貢献できる初めの一歩であると考えています。

ペーパーレス化の必要性

テレワーク・働き方多様性の対応

 昨今新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中で猛威を振るい、我が国も感染収束が見えてこない状況です。この影響で私たちの働き方は大きな変化をもたらしました。テレワーク、分散オフィス、ウェブ会議の普及に伴い、その手始めとしてオフィスのペーパーレス化が不可欠になっております。

オフィス縮小・オフィススペースのさらなる有効活用

 コロナで加速されたテレワークは、今後も一つの働き方の選択肢として定着していくことが予想されます。そこで、テレワーク活用によるオフィス縮小・オフィススペースの有効活用を検討されている会社が増えております。新たなオフィス作りとして多くの企業では、コミュニケーションエリア・集中エリア・リフレッシュエリアなどの確保により、社員が自由な発想でのびのび仕事ができる環境を整えております。

生産性の向上

 ペーパーレスを推進する中で、現状の紙によるワークフローを見直し不要な業務を減らすことが可能です。各種伝票などの紙の管理や勤怠管理など手入力している会社も多くあると思います。ペーパーレス化によってこれまで時間を割いていた事務処理を効率化でき、コア業務に時間をあてられるようになります。

ペーパーレスの具体的メリット

 先のペーパーレス化の必要性で述べた以外に、ペーパーレスを実現することで様々なメリットがあります。ゴミの削減(地球環境に優しい)、オフィス美化とオフィスの有効活用、コスト削減や生産性向上、機会損失の防止(スムーズな会議、ビジネススピードアップ)、ES向上(従業員満足度)など挙げられます。これらについて具体的メリットを紹介させて頂きます。

コスト削減と生産性向上

 印刷が減れば、印刷コストがダウンします。しかし紙や印刷物の削減による直接コストだけではなく、それ以上の大きな効果が得られます。印刷に関わる様々な手間、例えば印刷物を取りに行く手間、再校正しての再印刷、配布のなどの手間が大きく削減されます。また無駄な書類、ファイルを無くすことで今までそれららを収納していたスペースを削減できます。この余剰スペースの削減とフリーアドレスなどの活用で、オフィスコストの削減につながります。そして、ここでもっとも大きいのは文書のデジタル化により、欲しい文書を瞬く間に探し出すことがでることです。IDC社の調査によると、インフォメーションワーカー(情報を使って仕事をする人)が、1週間のうち文書の捜索に費やしている時間は、“4時間”と報告されています。( 1年に換算すると26日分、“約1ヶ月”)

機会損失の防止(スムーズな会議、ビジネススピードアップ)

市場の変化や技術進歩が激しい現代、ビジネスを進める中で様々な課題に直面します。そのクリアしなければならない課題について社内で情報を共有し、対策を議論し、意思決定するスピードを上げていかなければ生き残れない時代と言われております。
 従来の書類、ファイルの利用となると先に述べましたが、資料を探し出す時間、課題を整理するなどに時間がかかり、スムーズな会議が出来ず、今すぐ決めなければならないことが、先送りとなり意思決定が遅れたことで、機会損失の可能性が高まってしまいます。このようにビジネスのスピードアップにもペーパーレスが不可欠です。

オフィスの美化とオフィスの有効活用

ペーパーレスが実現できていないオフィスは書類に囲まれ、物がいたるとこにあふれているかと思います。この状況ではオフィス美化も掛け声だけとなり、できたとしても継続的な美化実現は不可能です。弊社の8年前もまさにその通りでした。今思えば、不要な書類やファイルの山にどれだけ賃料を払い続け、いかにオフィススペースを無駄にしていたかです。

ES向上(従業員満足度)

 ペーパーレス化に成功すると、継続的な活動によりオフィスの美化が自然と定着してきます。明るい開放的なオフィスは、社員のモチベーションが上がり、優秀な社員の採用に繋がります。オフィスリニューアル後の弊社は多くの学生さんが会社説明会・オフィス見学会に参加いただいています。よって、当社は新卒採用に困っていません。

ペーパーレス化で実現できたこと 弊社の場合

 弊社は2012年からオフィス・働き方改革をスタートしました。2014年には新オフィス「”自由と未来を創造する”リバティ&クリエーション(L&C)オフィス」がオープンし、ICTを活用したペーパーレス化の徹底とフリーアドレス化の実験を開始しました。ここでは弊社がペーパーレス実施することで実現できたことの一部をご紹介します。


ペーパーレス化による無駄の排除

① プリンタ・コピー機 75%(43台)削減
各フロアに複数台設置されていたプリンタを複合機1台に集約させることでオフィスの省スペース化や運用管理のスリム化が出きました。 
② ロッカー・キャビネット台数 80%(78本)削減
文書類の削減により保管スペースを大幅に縮小でき、窓際を覆っていたキャビネット類がなくなり、明るく広々としたオフィス空間へと変貌しました。

コスト削減と生産性の向上

① コピー・プリント枚数 60%削減
無線LAN導入とノートPC利用でどこでも業務可能となり社内会議資料などのペーパーレス化、文書保管場所の削減ができました。尚現在も存在する残り40%の多くはお客様への提案書、見積書等お客様対応上で無くすことが難しい印刷物のみです。
② オフィスコストの削減と生産性の向上
ペーパーレス化に加えフリーアドレスの採用で立川支店と横浜支店を本社へ統合(オフィス面積約23%削減)しても、今まで以上に余裕(会議室、リフレッシュエリアの増設)のあるオフィスとなりました。一人当たりのオフィス面積を減らし(▲33%)、コスト削減を実現したうえで、営業員のナレッジの共有や技術員の集結による大型案件への対応力強化など生産性が格段に向上しました。

ES向上(従業員満足度)

上記図は従業員満足度について、客観的データにもとづいた推移です。
この図を見ますと平均残業時間が減り、未だ改善の余地はあるものの有給取得率が上がり、離職率は低下しています。また上記図で特筆すべきは、女性社員数が倍増していることが分かります。中途採用も含め意識の高い、優秀な女性社員に恵まれ、各方面で活躍いただいております。ちなみに、近年入社いただいた女性社員に先の当社8年前の写真を見せたところ、おそらく入社はしていなかったとの事でした。

ペーパーレス化実現のためのポイント

 ここでは弊社が実際にペーパーレス化に取り組んだ結果、得られたペーパーレス化実現のためのポイントについて紹介します。また、ペーパーレス化から始まるオフィス・働き方改革に成功いただいている当社お客様でも同様なことが言えます。

トップのリーダーシップと社員一丸となった取り組み

 オフィス美化やペーパーレスは現場にとってはある意味、煩わしくただでさえ仕事に追われている現状を阻害させる要因の一つと捉えられがちです。それを打破するためにはトップの強い意志の下、さまざまな仕掛けで社員一人一人が一丸となって活動を進める環境作りが最も重要です。以下にペーパーレス化実現のための主なポイントを述べます。

Point1 目的の明確化

 ここではまず「オフィス美化やペーパーレスは経営改革へ向けた手段の一つである」との認識が重要です。多くの成功している企業は経営方針や将来ビジョンを再確認し、そこから導き出された経営課題を整理し、活動目的を明確にした上で、全社員と共有していくことから始まります。

Point2 活動体制の確立  ~活動体制はトップ直結でシンプルに~

 先の経営改革を目指すとするなら、トップ直結でシンプルな活動体制をお勧めします。やはり、全社一丸と言っても変革に対して快く思っていない社員や、過去の経験からまた掛け声だけかという、ネガティブ社員はいるものです。これが一般社員ならまだしも、古参幹部や管理職となるとなかなか前に進みません。ある意味この抵抗勢力をも巻き込む強いリーディングが必要となることから、トップ直結でシンプルな活動体制が重要となります。

Point3 目標と期間の設定

 先の活動目的が明確になりましたら、それをさらにブレイクダウンして目標値と達成期間を設定します。このときは仮説でも構いません。先の当社の成果を参考にしていただければと思います。

Point4 現状把握

 先の仮の目標値が適切か計る意味で、現状分析が大切です。会社のどの部署でどんな文書がどのくらいあるか、どう運用されているかなどを調べます。(詳細は後述します)その結果をみて、あるべき姿と現状のギャップを分析し、活動へ向けた企画や効果、実現可能な目標値、期間を確定します。

Point5 手段の選択

 現状棚卸された紙文書を仕分け整理していくのですが、ここでは一つの文書削減方法として、ある政府機関の“保管文書”の実態調査による仕分け方法を紹介します。報告では文書の「50%が廃棄対象文書、30%が文書庫(外部書庫)で管理するべき保存対象文書、そして残り20%がオフィスで管理すべき保管対象文書である」という調査結果が出ています。法的な紙原本保管の規制が無くなりつつある中、その閲覧頻度の高い残りの20%も電子データ化で紙削減は可能です。弊社も、この法則をもとに廃棄、保管、電子化が進んだことにより、当初検討した電子ファイリングシステムは必要なしとの結論に至りました。以上は一つの例ですが、目標達成へ向け効果的で効率的な手段をご支援します。

Point6 継続性の実現 ~継続的な効果測定と改善へ向けた社員への働きかけ~

 ここでは全社が一つになって進めたペーパーレス化推進活動がはたして期待通りの効果を発揮しているのか、効果測定が重要となります。しかも、一定の期間をおいて継続的な効果測定とその改善向けた社員の意識がどう変化したかが重要となります。なぜなら、オフィスは一旦奇麗になり紙は減ったが、この状態をあくまで継続させるのはほかならぬ社員であり、元に戻らないための仕組み作りが最も重要です。

ペーパーレス化実現支援コンサルティングのご紹介

 今までご紹介しました弊社の働き方改革は2012年からスタートし、2014年に新オフィス「L&Cオフィス」が誕生しましたが、成果が目に見えて現れるまでスタートから約4~6年かかりました。弊社ではその経験とその後のご支援事例をもとに、ペーパーレスから始まる働き方改革を短時間で成し遂げ、成果を得ていただきたく、「ペーパーレス推進支援サービス」を提供しております。下記はその一部をご紹介します。


ワークプレイスサーベイ

 ワークプレイスサーベイとは現状の仕事環境における課題を抽出し、その優先順位付けを明確にするツールです。5つ(ファシリティ、ICT、運用、コミュニケーション、全体)の領域に属する32項目を対象に、「重要度」「満足度」の2軸で合計66個の質問に5段階で評価いただきます。その結果として以下図がアウトプットされ、重要度が高く満足度が低い項目が見えてきます。継続取り組みへ向けた優先順位が明確になります。
 以上を新たな全社の取り組みや部門としての取り組みに反映させていくことでさらなるオフィス環境維持、改善が可能となります。また、本サービスとしては上記ワークプレイスサーベイを受け、お客様への直接インタビューによる課題の把握、今後の仕事環境への最適投資のご判断のサポートやオフィス改革当初の目的が実行されているかなどの導入後実態調査のサービスもメニュー化しております。

ペーパーレス化コンサルテーションサービス

 弊社のコンサルテーションサービスは、ペーパーレス化プロセスのうち、活動の柱となる活動方針の作成、現状調査(スペース、文書量、社内アンケート・ヒアリング、ICT)による課題の抽出から始まります。その現状調査に基づいた解決の検討として、ペーパーレス化コンセプトの確立、目標値設定、ICT・運用計画の策定など、全プロセス(以下図)初期段階において、活動の中心となるリーダーの方への活動をご支援させて頂きます。その後のペーパーレス化実現へ向けたご支援からシステムの構築、定着化改善支援でもお手伝いさせていただきます。

まとめ

 ペーパーレスを進めることで、コスト削減、生産性向上、ES向上への効果はご理解いただけたと思います。しかしながら、実際に取り込もうとすると思いのほか負担が大きいものです。ペーパーレスを推進したいが、「知恵がないため、着手方法や進め方が分からない。」「社内に実行する体制がない」「様々な会社を見学するが当社にとってのペーパーレスが分からない」などの声をよく耳にします。そこで、弊社では私たち自身の経験や、多くのお客様へご支援した成果をもとに、ペーパーレス化に必要な現状把握からプロジェクト体制、施策推進へ向けたご支援、さらにはペーパーレスの定着化まで、一連のプロセスをコンサルティングさせていただいております。是非ともご検討の際は、お声をかけていただきたくよろしくお願いいたします。また、本コラムが貴社のペーパーレス化検討に少しでもお役立ていただければ幸いです。