SDGsには全部で17の目標がありますが、そのうち下記4つの目標がペーパーレス化と深く関係しています。
なお、ターゲット(目標の小項目)はペーパーレス化と関係が深いものを厳選して紹介します。
目標8. 経済成長と雇用(働きがいも経済成長も)
ターゲット 8.4
2030年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る。
ターゲット 8.5
2030年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する。
出典:農林水産省「SDGs(持続可能な開発目標)17の目標と169のターゲット(外務省仮訳)」
SDGsの目標8「経済成長と雇用」は、経済の生産性を向上させるとともに、全ての人により良い雇用を提供するという内容です。さまざまな施策で経済成長を促すほか、賃金をはじめとする労働条件を改善し、不平等を是正することを目指します。
ペーパーレス化は、生産性向上や働き方改革にもつながる取り組みです。紙資料の電子化によってデータやデジタル技術を活用しやすくなり、時間あたりの生産性アップが期待できます。
生産性が向上し、会社のお金が増えれば、賃上げや採用数の増加などもしやすくなります。また、社外からでもデータにアクセスできる環境を作ることでリモートワークが促進され、育児や介護などに従事する人も雇用可能です。経済成長と雇用創出の両方が期待できます。
目標12. 持続可能な消費と生産(つくる責任つかう責任)
ターゲット 12.2
2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。
ターゲット 12.8
2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然に調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。
出典:同上
目標12「持続可能な消費と生産」は、限られた資源をより効率的に活用できる状態を目指すことです。とくに東アジアで顕著な天然資源の消費増、それに伴う環境汚染への対応が念頭に置かれています。
ペーパーレス化は、紙資源の持続可能な消費と生産に寄与する取り組みにほかなりません。企業経営に不要な紙資源を削減することで、国内外の環境保存に貢献します。
目標13. 気候変動(気候変動に具体的な対策を)
ターゲット 13.3
気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。
出典:同上
目標13「気候変動」は、地球温暖化による気候変動とその影響、それに関連する危険や自然災害への適切な対応を目指すことです。気候変動を抑制するための対策としては、温室効果ガスであるCO2の削減が重要になります。
ペーパーレス化を実現すると、廃棄された紙資料を燃焼する際に出るCO2を削減可能です。そのため、ペーパーレス化は気候変動の具体的な対策としても機能します。
ただし、ペーパーレス化に伴う電子化やデジタル技術の活用により、従来より大きく電気の消費量が増えるのは好ましくありません。発電でもCO2は排出され、気候変動につながるからです。よって、ペーパーレス化を気候変動の対策とするには、省エネにも同時に取り組むのが望ましいといえます。
目標15. 陸上資源(陸の豊かさも守ろう)
ターゲット 15.2
2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加させる。
ターゲット 15.4
2030年までに持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の能力を強化するため、生物多様性を含む山地生態系の保全を確実に行う。
ターゲット 15.5
自然生息地の劣化を抑制し、生物多様性の損失を阻止し、2020年までに絶滅危惧種を保護し、また絶滅防止するための緊急かつ意味のある対策を講じる。
出典:同上
目標15「陸上資源」は、森林や山地およびその生態系を守り、生物多様性を保全することです。陸の天然資源を持続可能な仕方で活用し、その恩恵を将来につなげることが目指されます。
製紙に用いるパルプの原料は木材です。紙を作るために国内外(外国は米国、オーストラリア、ベトナムなど)の木が伐採されます。もしペーパーレス化を推進して紙資源の消費を抑制すれば、そうした森林伐採の規模を縮小することが可能です。