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ソリューションコラム

ペーパーレス化は必要?
メリットや停滞理由から知る推進ポイント

50年ほど前からうたわれつつ、なかなか普及してこなかった「ペーパーレス」。コロナ禍により、リモートワークを導入する企業が増えたことや、デジタル庁の設立、DX推進など、国を挙げての取り組みも後押しとなり、ペーパーレス化に対する意識が高まっています。

時代の流れとともにペーパーレスを推奨する会社が増えていますが、「ペーパーレスってそもそも何?」「ペーパーレスのメリットは?」といった疑問を抱いている方は多いのではないでしょうか。

本記事では、ペーパーレス化を進めていくにあたっての目的やメリット、推進ポイントなどを解説していきます。

ペーパーレス化とは

ペーパーレス化とは、紙の書類や資料をデジタル化して保存、保管、共有することを指します。ペーパーレス化の目的は、コスト削減が強調されがちですが、それだけではありません。業務効率の改善や人的リソースの削減、セキュリティ強化など、さまざまな生産性向上へ向けた効果が期待できます。

ペーパーレス化とは何か、さまざまな観点から見ていきましょう。


デジタル化やリモートワーク推進によるペーパーレス


コロナ禍や働き方改革により、多くの企業でリモートワークが導入されています。

新しい働き方に対応するうえで、ペーパーレス化は欠かせません。資料をデジタル化することは、業務効率の改善やコスト削減、セキュリティ強化などに繋がります。


SDGsに伴うペーパーレス


ペーパーレスは、SDGsの目標に貢献が可能です。

たとえば、地球温暖化対策がポイントとなる「13.気候変動に具体的な対策を」であれば、資源の無駄遣いを減らすことができるペーパーレスは非常に効果的。生き物と森林を守ることを目的とした「15.陸の豊かさも守ろう」も、紙の使用量を減らすことで資源の消費が抑えられ、環境保全へ繋がります。


政府が掲げるペーパーレス


企業だけではなく、国もペーパーレスを推進しています。

2005年、紙の保存が義務付けられてきた法定文書について、電子保存を容認する「e-文書法」が施行されました。2018年にはデジタル技術とデータの活用によって国内産業の競争力を強化する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の実現を目標に掲げました。「e-文書法」「電子帳簿保存法」「IT導入補助金」などの法改正も実施され、国をあげてデジタル化が進んでいます。


ペーパーレス化のメリット

さまざまな観点から取り組まれているペーパーレス。実現できれば、多くのメリットが生まれます。ここからは、ペーパーレス化のメリットを5つご紹介しましょう。


1.コスト削減


ペーパーレス化のメリットとして、まず注目されやすいのが「コスト削減」です。

紙媒体をデータ化するため、紙代やトナー代といった印刷に関わるコスト、複合機の維持費やメンテナンス費が削減できます。保管場所の確保やファイリングなどの作業が必要なくなることから、保管費用や人件費が大幅にカットできるでしょう。過去当社が実践したペーパーレス化推進では、年々増え続ける紙文書の保管が必要なくなりコストが大幅に削減できました。


2.業務効率化


「業務効率化」もペーパーレス化を社内で進めていくにあたり、大きなメリットとして挙げられるでしょう。

電子化は、「必要な書類がどこにあるか分からない!」といった事態に陥ることが減り、時間短縮に大きく貢献します。また、自宅など社外にいても書類の確認ができますし、書類整理も不要。さらには文書作成の効率化を図ることもできます。

また、申請業務を紙で行っている企業の場合、上司の不在で承認が得られず業務が停滞してしまう可能性は少なくありません。そのような問題も、書類の電子化や電子契約システムの導入によって解消されるでしょう。


3.セキュリティ強化


紙の資料で業務を行う場合、「誤ってシュレッダーしてしまった」や「紛失したかも」と慌てた経験はないでしょうか。電子データで保存し、バックアップ対策もできていれば、破損や紛失のリスクは軽減します。

データにパスワードや閲覧権限を設定することで、情報漏洩の心配も大幅に減らすことができるでしょう。リスクマネジメントという観点からも、ペーパーレス化で得られるメリットは大きいといえます。


4.働き方の多様性


ペーパーレス化を推進することで、リモートワークや時短勤務など多様な働き方が可能になります。なぜなら、紙からデータの業務へ移行することで、働く場所の制限がなくなるからです。

たとえば、時短勤務で会議に参加できないスタッフには、クラウドやビジネスチャットで議事録を共有するという方法が可能となります。通常業務は在宅でできるのに、捺印のためだけに出社しているスタッフには、リモートワークを奨励できます。

ペーパーレス化を進めることで、柔軟な働き方ができるようになり、ワークライフバランスの向上も期待できるでしょう。

言い換えると、柔軟な働き方を推進するためにはペーパーレス化は必須といえます。



5.企業のイメージアップ


社内のペーパーレス化は、今まで述べてきたようなビジネス的なメリットはもちろん、環境保護の貢献にも繋がります。企業として社会的責任を果たしているというアピールができ、イメージアップになるでしょう。

ペーパーレス化はSDGsの取り組みのひとつです。樹木を消費して作られる紙を際限なく使ったり廃棄したりすることなくペーパーレスを実践することで、環境保全への配慮がなされているとみなされます。それらを企業ホームページに掲載したり、SNSで拡散したりすることで、注目される可能性も広がるのではないでしょうか。

ペーパーレス化が進まない理由

長年うたわれているにも関わらず、順調に進んでいるとは言い難いペーパーレス化。何度か取り組みつつ、結局実現に至っていない会社も多いのではないでしょうか。

ここからは、なぜペーパーレス化が進まないのか、その理由について見ていきましょう。


メリットを理解できていない


前述の通り、ペーパーレスには多くのメリットがあります。しかしながら、そのメリットを理解できている方が少ないのが現状です。

たとえば、現場担当者は理解していたとしても、それが上司や他のスタッフまで浸透していなければ継続には至りません。ペーパーレス化に成功している企業は全社的活動へ向けたメリットの共用と推進に対するトップの思いそし強いリーダーシップが必要になります。


紙文化の定着


紙に対して安心感や信頼感を持っている方は多いのではないでしょうか。日本企業において紙文化は非常に根強いものといわれています。日本では、公的な資料や契約書類などに押印が必要であるケースが多く、「重要書類=紙」という価値観を持つ人がまだまだ存在するためでしょう。

また、紙は全体像が見やすいことや、少量なら持ち運びやすくて便利という良さもあります。それらに価値を感じている世代が経営陣に多いことも、ペーパーレスを阻む理由でしょう。

ITリテラシー不足


ペーパーレス化を進めるために、社員のITリテラシー向上は欠かせません。今まで紙で保管してきた情報をデータ化するということは、PCやクラウド、ネットワークの使い方やセキュリティ対策など、あらゆるスキルが必要です。

また、フローがデジタル化されているにも関わらず、従来の習慣がなくせないケースも多いようです。説明用に紙を印刷したり、PDF保存をする方法として印刷した紙をスキャンしたりと、システムを導入しても機能を正しく理解できていなければ意味がありません。

ただし、ITリテラシー不足といってもマンマシーンインターフェースは格段に進化しています。スキルアップ教育の機会さえあれば、克服できるのも事実です。

初期コスト


ペーパーレス化のデメリットとして挙げられるのが、初期コストです。

ペーパーレス化の実現には、ネットワーク環境の整備やデバイスの準備、システムの導入などが欠かせません。デバイスやシステムの使い方、データ運用方法をスタッフに教育するための費用もかかってくるでしょう。

しかし、長期的なメリットで考えると、紙代や印刷代、人件費など大幅なコスト削減が見込まれるため、ランニングコストがどれくらい削減できるかに視点を向け、費用対効果を検証する必要があります。

ペーパーレス化推進のためのポイント

メリットの多いペーパーレス化ですが、簡単に進めることのできない理由が多くあることもお分かりいただけたでしょう。ここからは、ペーパーレス推進にあたって、押さえておきたいポイントを2つご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

1.ペーパーレス化の必要性について社内の理解を深める


前述の通り、真のメリットが理解できていなければ、ペーパーレス化は進みません。ペーパーレス化をすることによってどのようなメリットがあり、会社にとってどれだけ必要か、社内の理解を深めることは大変重要です。

2.取り組めそうな部分から始める


人とは、失敗を極度に恐れるもの。新しい内容を始めることに対して消極的です。ペーパーレス化を始めるにあたって、全てをデータ化してしまうなど一度に全てを変更することはおすすめしません。段階を踏んで、効果が見込め、優先度の高く、取り組めそうな部分から順番に行っていくと良いでしょう。自然に溶け込んでいく流れを作ることができればベストです。

まとめ

ペーパーレス化の方法は、第一歩として文書を印刷せず電子ファイルで保存すること。システムや端末、アプリありきではありません。

企業の大半がまだペーパーレス化を実現していない今、率先して紙文書をやめることは、生産性を高めて競合優位性を確保するチャンスです。これを機会にぜひ、今回紹介した方法を実践し、いち早くペーパーレス化を実現しましょう。

当社で過去実践し、その後多くのお客様に支援させていただいたノーハウをもとに現在ペーパーレス推進支援サービスを提供しています。


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